(画像:公式サイトhttps://www.greenbookfilm.com/gallery/)
おはようございます、半蔵です。
ゴールデンウィークだってのに休日出勤だったあの日、仕事終わりに何か爪痕を残したくて1人映画に行ってまいりました。
(この感情わかるよね??)
何か観たい映画があったわけでは無く、ただ「映画館に行きたい」という感情だけだったので、まずネットで公開映画を調べるところから始まったのですが、その時に目に留まったのが今回ご紹介する「グリーンブック」です。
※この記事にはネタバレが多く含まれるのでご注意下さい!
あらすじ
舞台は1962年、ニューヨーク。ナイトクラブで用心棒として働く、黒人に対して差別意識のあるイタリア系アメリカ人のトニー・バレロンガでしたが、クラブの改装工事の為、暫くの間仕事を無くしてしまいます。
そんな時に働き口を紹介してもらったのが、黒人ジャズピアニストのドン・シャーリーのコンサートツアー運転手。しかもそのツアーは人種差別の色濃いアメリカ南部各地をまわるコンサートツアーだったのです。
2人は黒人(の安全の為の)専用旅行ガイドブック「グリーンブック」を手にツアーへ出発する。
感想
(画像:公式サイトhttps://www.greenbookfilm.com/gallery/)
まぁよくある話ですわ。
特に捻りも無いし、真新しさも無いです。
冒頭に「ネタバレ注意」とか書いたけど「いや、想像通りやけど」と思われるでしょう。
でも僕はこの映画を観終わって、観て良かったと思っているし、今映画館で何か見ようと思っている友人がいたら間違い無くこれを勧めるだろう。
ちなみに僕がこの映画を観に行った時は「キングダムは本日満席になりました」と札が上がっているほどキングダムが大人気で、このグリーンブックの会場はガラガラだった・・・。
そんな注目度はイマイチで、話の新鮮さや小細工も何も無いけど、この映画はグッと心に来るものがあります。
作りとしてはほんとありきたり。
白人のトニーと黒人のドン。そして 粗野な性格のトニーと知的なドン。
そんな正反対の二人が8週間のコンサートツアーなんて、ぶっちゃけありえな~い?的なやつです。
いや「ブラックとホワイト」にかけているわけでは無い。
(画像:公式サイトhttps://www.greenbookfilm.com/gallery/)
まぁ、そんな二人が衝突しながらもお互いを認め・尊敬し合いながら、旅を続けるという、これまたよくある話。
でもそんな中で人種差別の深い闇が描かれているんですよね。ドンはピアニストとして高い評価を受け、白人の富裕層に招かれてコンサートを行い拍手喝采を受けますが、ステージを降りれば黒人として酷い扱いを受けます。
劇中にも出てくるセリフですが「才能だけでは不十分」という現実に胸が痛くなります。
日本人の感覚では中々この人種差別の問題は普段意識することはありませんが、こんな酷い歴史(おそらく一部では今も…)が事実として存在しているという事はショックなことです。むしろ映画で描かれていない部分の方がもっと酷い扱いを受けたのでしょうが・・・。
そんな光景にトニーは素直に憤りを感じ、また、自分の考えを改めていきます。トニー良いやつなんすよ。冒頭はガサツなデブと思ってごめんやで。
ちなみにトニーの奥さんは最初から差別意識の無い終始素敵な女性。・・・好きです。
(画像:公式サイトhttps://www.greenbookfilm.com/gallery/)
人種問題はこの映画の大きなテーマにはなっているのですが、映画全体に散りばめられたコメディ要素(主に二人が親しくなっていく様子が微笑ましい)のおかげで憂鬱な気分になることもなく、楽しい気分を保ちながらテンポよく最後まで見ることができます。
悲しいことに人種問題の根本的な解決にはなっていないものの、ドクが最後にとあるステージで演奏をするシーン・・・彼の笑顔がすごく印象的でした。
そしてそれを導いたトニーの彼へのリスペクト。
うん
ベタなんだけど熱いんだよ。
黒人差別について
過激では無いけれど黒人差別の気があるトニーは、自宅に来た作業員(水道工事だったかな?)が口にしたグラスをゴミ箱に捨ててしまいます。
いや、この腹の出たデブ最低だな、と思ってしまいますが、悲しいことにこの時代はこれが普通だったのかも知れませんね。
僕は若かりし頃、ジョジョの影響で黒人差別について調べたことがあるんですけど、ほんと酷いものばかりで凄く落ち込んだ事を覚えています。
(ジョジョでは作中のある人物がKKK(白人至上主義団体)に暴行を受けた過去を持っている)
↓人種差別ゼロの素敵なジョジョ記事はこちら
当時のアメリカではジム・クロウ法という、今の感覚では考えられない差別の塊の法律がありました。
映画の中でも一部出てきますが
・黒人は白人と同じレストランで食事が出来ない
・黒人は公共交通機関を使えない(白人と分けられる)
・黒人への間接的な投票権の剥奪(納税・制限等)
などが(州によっては異なる部分があるものの)法律によって定められていました。
主に当時農業を中心とした黒人労働者の継続的な確保、というより白人と黒人の社会的地位の優劣を縛りたいが為の腐った法律です。
そんな時代背景から誕生したのが、映画タイトルにもなっている「黒人が利用可能な施設を記した旅行ガイドブック=グリーンブック」です。そもそも、こんなものがある時点で人種差別の闇深さを感じとれますよね。
例えるならば兵庫県民の僕が、東京に行くのにコウノトリブック(仮)を持ち歩いてビクビクしながらホテルを探すようなものですから。
※コウノトリは兵庫県の県鳥です。
しかも僕がコウノトリブック(仮)に載っていない東京人だらけのお洒落なカフェでお茶しようもんなら「このノジギク野郎が!」ってボッコボコにされるようなもんですからね。
※ノジギクは兵庫県の県花です。
と、冗談ぽくは書きましたが、理不尽さとしてはマジでこんな感じですよね?兵庫県民に生まれたが為に、ただそれだけなのに。
やるせないよね。
「時代が、世間の常識がそうだから」差別をする。これってもの凄く愚かな行為ですよね。その物事を、その人物の本質を見ていないし、見ようとしていないからなんですよね。しっかりと向き合えば、感じていた抵抗なんか何てこと無いはずなのにね。
悲しい時代です。
おわりに
人種差別という重いテーマはあるものの、内容としては万人にオススメ出来る映画なんじゃないか、とは思っています。
今回記事を書きながら、世界的な評価を見ていると(この時初めてアカデミー賞受賞作品と知った…)人種差別の根本的な問題を触れていないだとか批判的な意見も多いようですが、僕としてはこういった「映画」というライトな媒体によって、一人でも多くの人が人種問題を知る・考える一つの切欠になれば素晴らしいことだとは思います。
あと、この映画を観た後はケンタッキーが食べたくなるから気を付けて。
何故か?
それは映画を観てのお楽しみ。
おわり。