みんな集まれ半蔵門

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37歳にして紅生姜を美味しく感じた話

 

お久しぶりです、半蔵です。
 
履歴を見てびっくりですが約3年ぶりの投稿です。

3年もあれば色々な出来事があったわけですが…皆さんには一回りを大きくなった私に伝えたい。

 

のですが

 

特に無いんですわ。

 


この3年間で自身の「成長」で真っ先に思いついたのは「37歳にして紅生姜を美味しく感じた」っていうね。

 


なんだそれ。

 


まさか37歳で紅生姜と和解する日が来るなんて。

紅生姜…それは牛丼や焼きそばの上に乗っかっている赤いやつ。

飾りならまだしも、しっかりと自身の下部を自分色に染めて「個」を主張してきてやがる。

 

昔はなんでこんなもんが乗っているんだ?

私の理想とする戦術に彼は全くハマらない、と思っていました。

それでも彼は何度も何度も「俺を起用しろ」とピッチ(牛丼)の上にふんぞり返っている。試合中(食事中)にも「フリーキックは俺!」と僕に主張し続けるケイスケ・ホンダ(紅生姜)でしたが、僕は毎試合サッと彼をピッチ外に追いやる。


そんなことを繰り返した30年。

しかし、今年の秋に二人の関係は急速に縮まっていきました。

 

きっかけは久しぶりに立ち寄った「すき家」でした。

とりあえず牛丼を頼み、さぁ食べようかという時に僕の視界に入ったのは、隣で牛丼on紅生姜の山を食べる小堺一機似のおじさん。紅生姜多すぎてむしろ紅障害レベル。

 

えー、と思いつつも、その印象的な光景から何故か僕のスイッチが入った。

あれ?これはもしかしてターニングポイント?

思い返せば苦手だったものが食べれるようになる…なんだったら好きになった経験なんか何度もあったじゃないか。

レバーしかりウニしかりコーヒーしかりだ。

 

意を決して、紅生姜をひとくち食べた瞬間、

紅生姜のさっぱりとした酸味が甘辛い牛丼の味を引き締めて、絶妙なバランスを生み出していた。

邪魔だ邪魔だと思っていた彼が、試合の空気を一気に変えてくれた。

言うなれば豊玉のラフプレーに熱くなる湘北の窮地に投入されたヤス。

口の中が牛丼一辺倒で進むゲーム展開の中にペースダウン・リセットを図り、ゲームをコントロールするヤス。

 

「相手は自分を映す鏡」とはよく言いますが、紅生姜も自分を映す鏡なのかもしれません。

攻撃的に自分の意見のみを主張する当時の僕にとって紅生姜は「俊輔さん、最近FK決めていないでしょ」と言い放つケイスケ・ホンダでした。

しかし、大人になり色々なことを受け入れることが出来るようになった37歳の僕にとっては「1本!1本じっくり!」と声を掛けてくれるヤスに写ったのです。


思い返せば20代前半の頃に、後輩が牛丼に乗った紅生姜を好み、「紅生姜で一回、味変するんすよ!これで世界が一周するんすよ変わるんすよ」と言っていた。

当時は「うるせぇプッチ神父かよ」ぐらいにしか思っていなかったが、今になって彼の言葉がやっと理解できた気がする。

 

「そういうことか…」

 

その一言が心の中で静かに響いた。

20代では気づけなかった味の深みや楽しみ方が、37歳になった今、ようやく自分の中にすとんと落ちた気がした。

小さな気づきだけれど、なんだか大人になったような、そんな穏やかな満足感が胸に広がった。

 

ところで、イチロー選手は37歳の時にMLBで10年連続200本安打を達成し、スティーブン・スピルバーグは36歳の時に映画「E.T.」を公開し、ナポレオンは35歳の時にフランス皇帝に就任した。

 

そして僕は37歳にして紅生姜を美味しく感じた、という日記を書いている。

 

 

良いのか?これで。