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【ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん】自分とは何だ?父親とは何だ?(号泣)【映画感想ネタバレあり】

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(C)臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2014

 

超オススメ。 

2014年4月19日に公開された『クレヨンしんちゃん』劇場映画シリーズ第22作目。

クレヨンしんちゃんの映画って沢山ありますけど、僕は子供の頃にいくつか観たっきりであんまり観てなかったんですよね。「しんちゃんの映画は泣ける」ってよく聞くと思うんですけど、それがまた僕を遠ざける。なんかハードルが上がり過ぎて気負って観るのがイヤだったんですよねー。 

 

 

あらすじ

ギックリ腰で腰を痛めたひろしが美女に誘われマッサージ店へ。

先に家へ帰ったしんのすけから(内容を盛りつつ)美女に誘惑されたひろしの様子を聞かされ激怒するみさえですが、しかし、家に帰ってきたのはロボットになったひろし

警戒しまくるみさえと、ロボットになったひろしを「ロボとーちゃん」と名付け、喜ぶしんのすけ。ひろし自身もロボになった自分に戸惑うものの、ロボの体を活かして料理や家事洗濯、子供達と無尽蔵のスタミナで遊ぶ日々を過ごし、除々に普段の野原家の幸せ、絆を取り戻していく。

しかしそんな矢先、ひろしがロボとなった理由が「家庭で立場が弱くなった現代の父親達の復権を目論む『父ゆれ同盟』の陰謀」であることが判明する。

『父ゆれ同盟』の陰謀を打ち砕く為、ロボとーちゃんとしんのすけが立ち上がる。

そんなお話です。  
 

感想

めっちゃ泣きました。ただその涙も感情も「感動した!」って感情じゃなくて…こう、悲しいというか、切ないというか。終盤は「あふぅ…ふぅ…!」って苦しい涙を流して子供に笑われてました。

 

※以下、重要なネタバレが含まれています!

 

 

まず、この映画には良い意味で裏切られました。

しかもその裏切りは「終盤のまさかのどんでん返し!」とかでは無く、物語の中盤に出てきて、この映画のテーマ(見方)がごっそり変わってしまう設定。初見の僕は天変地異レベルで「え…!?」ってなりました。

 

 

 

その裏切りの設定とは…

ロボとーちゃんは実は改造されたひろしでは無く、ひろしの記憶と意識をコピーしたロボットで本物のひろしは別で生きていて『父ゆれ同盟』に捕われている、というものです。

 

「何言ってんだこいつ?」とか言わないで下さい。

要はですね、

今このブログを見てくれてるアナタって、確実に素敵な人じゃないですか?読者登録してくれてる人なんか神の域。そんな素敵なアナタだから、素敵な思い出もたくさんあるじゃないですか?子供が生まれた忘れることが出来ないあの日とか、家族で出かける何気ない日常とか。今だって自分の意思でこのブログを読んでくれてるアナタ。

でもアナタの人格も記憶も唯のコピーです。

そう言われてるってこと。

 

いやいや、俺は俺だよ?小学校の時にことも思い出せるし、昨日何したかも思い出せるし!そう思うでしょう。でも目の前の明らかに「自分」の姿をした人間が「俺が本物だよ!」とか必死で言ってる。だいたい自分はどう見ても人間じゃなくロボットの体。

妻は明らかに(人間の体をした)もう一人の自分との再開を喜んでいる。自分はどう考えても自分なのに、どう考えても家族との距離を感じてしまう…。

 

この映画、めちゃくちゃ残酷なんですよ。

この設定を知るまで「ロボにされたひろしが悪者と戦って何やかんやで元の体に戻ってハッピーエンド」って話だと思ってました。全然違った。

設定自体は超斬新ってことでも無いとは思うけど、この設定を『クレヨンしんちゃん』の『野原ひろし』でやってしまうことがこの映画の恐ろしいところ…。

どれだけ家族を想っても、もう一人の自分も全力で家族を想ってて、平行線。自分とは何だろう。本物とは何だろう。物語でもその答えは出てきません。家族想いの野原ひろしという存在がこの作品の残酷さを加速させています。

 

物語が進んでいくにつれて胸が苦しくなる作品です。作中のひろし(達)もその苦しい状況で全力で家族を守る姿は涙無しには見られませんでした。

特に世の父親にぶっ刺ささりまくる恐ろしい作品です。

 

おわりに

子供は翌日に「もう一回見よー」と再生していましたが、僕は見れませんでした。辛くて辛くて。完全にひろしに感情移入で心がやられるのです。

 

めちゃくちゃ泣いた映画ですけど、誰かに「感動出来る映画ない?」って聞かれてこの映画を勧めるのは多分しないかなぁ。感動もしたんだけど、感動以外の感情が圧倒的で。

 

でも世の父親達には是非是非オススメしたい映画ですね。

ホントこの映画のひろしはカッコいいよ。